重戦機エルガイム
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重戦機エルガイム
ジャンル
ロボットアニメ
アニメ
原作富野由悠季
原案矢立肇
総監督富野由悠季
シリーズ構成渡邉由自
脚本渡邉由自、富田祐弘渡辺麻実
河原よしえ、大野木寛
キャラクターデザイン永野護
メカニックデザイン永野護
音楽若草恵
製作名古屋テレビ
創通エージェンシー
日本サンライズ
放送局名古屋テレビ
放送期間1984年2月4日 - 1985年2月23日
話数全54話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『重戦機エルガイム』(じゅうせんきエルガイム、Heavy Metal L-Gaim)は、1984年2月4日から1985年2月23日まで、名古屋テレビを制作局としてテレビ朝日系列で毎週土曜17:30 ‐ 18:00(JST)に全54話が放送された、日本サンライズ制作のロボットアニメ

テレビシリーズの終了後も、OVA渡邉由自による小説化(ノベライゼーション)、池原しげとによる漫画化作品(コミックボンボン連載)および、白石琴似による再構成漫画『UNDER THE SUNS』(一迅社刊)などといったメディアミックス展開が行われた。
概要

前年の同時間帯で放送された『聖戦士ダンバイン』の後番組として制作され、監督は同作品より引き続いて富野由悠季が務めた。また『ダンバイン』や『戦闘メカ ザブングル』に引き続き、本作品でも「主役メカ交代」のスタイルを踏襲しており、番組タイトルでもあるヘビーメタル (HM)・エルガイムが前半の主役メカ、中盤で登場するエルガイムMk-II(マークツー)が後半の主役メカとなる。

本作品では若手スタッフが積極的に登用され、湖川友謙率いるビーボォーに所属していた北爪宏幸大森英敏など、制作当時の20代アニメーターを中心にスタッフ編成がなされた。中でも、当時23歳だった新人デザイナーの永野護は、日本サンライズ制作のロボットアニメとしては初となる、キャラクターデザインとメカニックデザインの両方を担当するという大抜擢を受けた。当初、永野はすでにメカニックデザインで起用され、エルガイムを始めとした数点のメカデザインが上がっていた。このころ、この斬新で独特な永野メカに違和感なく溶け込むデザインが要求されるキャラクターデザイナーの選出に頭を悩ませていた富野が、永野に向かって「お前がキャラを描けたらなぁ」とぼやいたところ、永野が「キャラも描けますよ」と即答。それを聞いた富野が、「片方ならともかく両方のデザインを、それも新人がやるのは」と反対する日本サンライズを説得したことで、永野が両デザインを担当することになった。しかし、「番組を若い連中の教育に利用している。それは作品作りではない」などとする一部視聴者からの批判もあった[1]

物語の前半は、主人公であるダバ・マイロードの成長を軸にコメディタッチで展開されており、優柔不断なダバを二人のヒロインが取り合うというラブコメ的要素の強い演出がなされていた。キャッチフレーズとして「天下を盗るなら妖精と笑え」という本作品世界のことわざを使い、サクセスストーリーであることを謳っていたのがこのころである[2]。物語中盤では、ダバが滅亡したカモン王朝の末裔であることが明かされ、カモン王朝を滅ぼした悪の支配者を打倒するという貴種流離譚的な展開を経て、ダバたちは苦難と激闘のすえに仇敵を倒す。

ラストは、ダバ自身は新たな統治者となる道を選ばないうえ、人格が崩壊した義妹かつ許婚のクワサン・オリビーとともに生まれ故郷の惑星コアムで隠棲するという結末を迎える。一方、池原しげとによるコミカライズ版のそれはテレビシリーズでのラストとは大胆に異なるものとなっており、ダバは新しい世界を作るために活動するリーダーとしてオリビーをはじめ、ギャブレー、アム、レッシィら4人の仲間と力を合わせていく、という完全なハッピーエンドとして描かれた。これは「もう1つの『かくあるべき結末』」としてファンから絶賛され、今日もなお語り継がれているという[3]

総話数は、当初の予定の全50話から4話延長されている。第49話で敵の本拠地へ突入するという展開は延長前の名残りで、本来は突入せずに決着を付ける予定だった。また、後番組『機動戦士Ζガンダム』の企画は本作品の放映前から始動しており、富野は「『エルガイム』というのは『ガンダム』をやる前の半分は捨て駒だった」と述べている[4]
世界設定

富野は『機動戦士ガンダム』や『聖戦士ダンバイン』などで、新たなロボットものの作品世界を作ることに成功していたが、これまでの経験に慣れていたスタッフにまったく異質で若い才能を加えてみることを思い立ち、その最たるものとして永野護を加えたことによってこれらの作品とは一線を画すものとなるに至った。

永野は各デザインを行うにあたり、その文化的な背景を確立させる必要があったことから、物語には現れないものも含めてさまざまな設定を考案しており、実質的に世界観の全構築を行っている。このためストーリーも永野によるものであると思われがちだが、ストーリーライン自体は富野の依頼により渡邉由自が手がけた原作小説をベースにしている。

敵側のポセイダル軍に対して主人公側は反乱軍という構図や、登場人物が使用する光の剣「セイバー」などに米映画『スター・ウォーズ』との類似性が見られる。このうち後者について、永野は後年『スターウォーズ』を好きな映画として挙げており[5]、その衝撃が大きかったことを語っている。

永野設定のほとんどを受け入れていた富野だったが、人造人間「ファティマ」(オリジナルHMの頭部に搭載されている有機演算コンピューター)という設定には猛反対し、没にしている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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